Fulbright Enrichment Seminar in Nashville, TN

先日参加した、フルブライトのエンリッチメントセミナーは、音楽の街ナッシュビルで行われた。セミナー会場から5分ほど歩くとブロードウェイに到着し、そこに並ぶ数えきれないバーの一軒一軒からは、昼でも夜でも、アーティストたちが奏でるカントリーミュージックと溢れんばかりの観客の歓声が重なって、まさに「ライブ・ミュージック」が聞こえてくる。セミナーでお話ししていた有名な音楽家の一人は、作曲活動をする際に、他のどの場所よりもこの場所からインスピレーションをもらえ、自然に最も早く曲を作ることができると言っていた。

 

セミナーで印象に残ったことばは、英語で、「音楽を奏でる」と言うときに使う動詞は「play」だ、ということと、音楽は、言葉や文化が違っていても人と人とを繋げることができる、ということ。

 

今回のセミナーには約70か国から約130人が参加しました。セミナーに参加する以外にも、みんなで飲みに行ったり踊りに行ったり、ナッシュビルという街だからこそのお楽しみが沢山あった。7月に参加したプレアカデミックでも全く同じことを感じたが、たとえばバーやクラブで、その瞬間瞬間に、皆同じような表情で笑っていたとしても、それぞれには国レベル・歴史レベルで全く違う背景があって、「当たり前」はみんな違う。

 

「この人たちにこの考え方は分かってもらえない」とか、「この話を外国語で説明するのは無理だ」と思って、自分の考えを話すことを諦めたことは今まで何回もあったけれど、今回のセミナーでは、こんなに色々な面で無知な私にも、自分の国の情勢や、自分の過去、自分の研究への情熱、そしてこれから自分がどう社会に貢献して行きたいか、といったことを、お酒の席でみんなが語ってくれた。たとえば、スーダン出身のMDの人が、南スーダンでの紛争で難民の救済に協力したこと、コンゴ出身のconflict resolutionを学んでいる人は、前日に政府に反抗した友人4人が殺され、また自身も4度刑務所に入ったことがあり、国を本気で変えたいと思っている、などなど。

 

大学院レベルで「研究」する人はみな、それなりのモチベーションや情熱があるのは当たり前だけれども、じゃあ「何のために?」というところが「好きだから」というだけでは、今この瞬間に勉強に時間を「割かせてもらっている」ことに対しては不十分な気がとってもしてきて、改めて自分の方向性を考えさせられるきっかけになりました。(二回目の修士をやっているくせに何を言うと思われそうですが。)

 

音楽・踊り・お酒という、おそらくどの文化にもあるこの3つは、やっぱり大事なんだなぁと思った3日間でした。